つくる


 戸河内挽物には、「挽物木地師」の工程と、「漆塗師」の工程があります。
以前は分業制でしたが、現在では1人ですべての工程を行っています。


「挽物木地師」の作業 
 挽物」は、木材を木工ろくろで回転させながら刃物をあてて椀や盆など円形の木地を削る技法です。
では、その制作工程を見てみましょう!

その1
 刃物作り

制作する木地(木の器)にあわせて、使用する刃物は自分で作ります。
「鍛冶屋が出来ないと木地師は出来ない」と言われています。

その2
 原木の製材

原木を丸太で仕入れ、木を見ながら製材をします。
主に「トチの木」を使用します。

その3
 木取り

製材後、制作する作品より大きめに木を切ります。

その4
 荒ぐり

木取りをした生木の状態の木材を木工ろくろに取り付けて、おおまかに作品の形に挽きます。
荒ぐり後、約1年以上ゆっくりと自然乾燥をします。

その5
 中ぐり

しっかりと乾燥した荒ぐりは、木が動いて歪みが発生しています。
この歪みの部分を木工ろくろで挽いて、歪みのない状態にします。
もう一度、約1年程度の自然乾燥して歪みがない事を確認出来たら、仕上げの工程に進みます。


その6
 仕上げ

歪みがない事を確認した中ぐりを木工ろくろに取り付けて、製品の木地に仕上げます。
原木の状態から、約2年かかって、「木の器」の完成です。

 主な木の器の製品 「すし鉢」




 「漆塗師」の作業
 木地が出来たら、次は漆を塗る「漆塗師」の作業です。
では、その制作工程を見てみましょう。
 
その1
 国産漆だけを使用しています。

工房の作品に使用する漆は、国産漆だけを使用しています。
※工房では、岩手県産の漆を使用していましたが、2013年からは自生するウルシから採取した広島県産の漆の使用をはじめました。
2017年からは、工房で育てた「奥安芸漆」を使用しています。

その2
 漆の精製(天日手ぐろめ)

ウルシの木から採取した漆を太陽の下で、ゆっくりと1日まぜて、漆の水分を蒸発させると上塗り用の漆が出来ます。
 
 
その3
 木地固め

木地にたっぷりと国産漆を染み込ませます。
こうして木地を丈夫にします。

その4
 下地

米糊と国産漆をまぜて麻布を貼り付けます。
その後、砥粉と国産漆をまぜて塗り、麻布を見えなくしてしまいます。

その5
 漆の下塗り

国産漆を塗り、専用の「漆室」の中で、約1週間程度乾燥させます。
そして、砥石でこすって、また国産漆を塗ってを、10回程度くり返します。
国産漆の乾燥には非常に時間が必要な為、制作には時間がかかります。
 
 
その6
 漆の上塗り

最後に丁寧に国産漆を塗って完成です。
原木の状態から木地を挽き、漆器が出来るまでには、約3年が必要です。
  

 主な漆塗りの製品 「お椀」




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